大阪店 11時-ラスト
ももか/(30)
T163/ B92(G)/ W62/ H100

第一章 鏡の中に、知らない私がいた。
「……つけたら、もう戻れないんだよ?」
そう言って、私がそっと取り出したのは、ひときわ艶めくチェリーレッドのリップ。
ねぇ、鏡見て?
指先にそっとのせた紅が、君の唇を染めていく。
少し戸惑いながら、でも…どこかうれしそうに、目が潤む。
「きれいだよ。可愛い。」
その一言で、背中が震えるのわかったよ。
知らなかった感覚が、胸の奥からジン…って広がって。
ほら──
鏡の中の“君”は、もう、男の子じゃない。
少し恥ずかしそうに笑ってる、“女の子”の顔してる。
「このスイッチ、入れたのは私だけど──
もうオフにできないのは、君自身だよ?」