ももか/（30）

「外したら、何が見えると思う？」

「これ、つけてみて……？」

ちょっと怖い？

でもね、“見えない”だけで、感覚は全部剥き出しになるの。

皮膚の音、息の熱、

唇が近づいてくる気配、そして──まだ触れられてない、という焦燥。

ねぇ……

目が見えないって、こんなに感じることだったんだって、

あなた、今、身体で覚えてるでしょう？

──でも、これを外した瞬間がいちばん怖いんだよ？

「あなたが最初に見るの、わたしの“目”だから。」

逃げられると思ってた？

そんな優しさで、許すと思う？