ももか/（30）

「ここに顔、置いてみて？」

「ねぇ……どうして、そんな顔して見上げてくるの？」

わたし、まだ乗ってないよ？

ただ脚を開いて、少し腰をずらしただけ。

でも、君の瞳の奥──もう“始まってる”の、バレバレ。

少しずつ迫る視界、空気の濃度。

距離はまだあるのに、呼吸が揃ってくる。

ふふ。

息、浅くなってるのも感じてる。

その顔……もうすぐ、わたしの椅子になるって知ってるんでしょ？

──**「自分の意志で“顔を差し出す”って、こんなに気持ちいいのね？」**

まだ触れてないのに、

もう“わたしの重み”を想像して、

ぴくって……反応してたよ。

“顔で感じる”って、意外とクセになるの。

変態の入り口って、だいたいこの辺りから。

今日は、その第一歩。

わたしのヒール、カツンって鳴ったら……

覚悟してね？