さき/（30）

この世界にも“品”がある。

「質と量の話」


「質より量」という言葉が、
昔からあまり好きではない。


どこか、がめついというか――
“満たしたい”というより
“取りこぼしたくない”という
欲の匂いがしてしまって。


たとえば、食事。


食べ放題は、
食べ盛りの中高生なら許せるけど
味わうことよりも、
「どれだけ食べられるか」に
意識が向く感じが、
少し賤しく感じてしまうのです。


もちろん、価値観はいろいろ。
否定したいわけではありません。


でも、この業界においても、
同じようなことを感じる場面があるのです。


まだ何も始まっていないのに
「回数制限ってありますか？」
と尋ねられたり。


ショートコースなのに
「2回、3回…」と欲張ったり。


気持ちはわかります。
でも私としては、
じっくり焦らされて、じらされて――
その先に訪れる“ひとしずく”の快感こそ、
味わっていただきたい。


要望があれば、できる限り応えます。
一応、そういったテクニックには
自信もありますし、
実際に口コミでも
触れてくださっている方は
いらっしゃいます。


けれど、
それは“結果として
そうなった”だけであって。


たとえば、早くいってしまったから
「じゃあもう一回いっとく？」とか、
　

途中で“誤射”しちゃったから
「気を取り直してもう一度」とか。　


そういう、自然な流れの中での話です。


最初から“回数”だけを目的にされると、
正直…ちょっと萎えてしまいます。


深夜、ふと目が覚めて思い出したので
ここに、そっと記しておきます。