五反田店 11時-翌3時
さき/(30)
T153/ B91(F)/ W58/ H88

誘われたわたしは…。
ふと足を止めて
小さな白い花の香りをかいだ。
理由なんてなかった。ただその瞬間、
ああ、春が来たんだなって、
身体の奥がゆっくり反応した気がした。
気づかないうちに、
少し無理をしてたのかもしれない。
目の前のことに追われて、
季節の変化にも気づかないまま、
日々を過ごしていた。
でも、あたたかな風に
包まれて目を閉じたとき、
ぼんやりと懐かしい記憶が浮かんだ。
はっきりとは思い出せないけれど、
なぜか安心できる記憶だった。
こういう時間って、
誰かと共有してもいいけれど、
ひとりで静かに持っていたい気持ちもある。
言葉にしないことで守れるものも、
きっとあるから。
春は、やっぱり少しずるい。
無防備になった心の隙間に、
そっとやさしさを差し込んでくるから。