さき/（30）

満たされる時間の価値。

ふと、旅に出たくなった。
何か特別な理由があったわけじゃない。


ただ、日常から少し離れたくなって、
いろいろな宿を探していた。


高級ホテル、古民家の宿、温泉旅館。
それぞれに違う魅力があって、
どこも惹かれるものがある。



でも、ふと思った。



「結局、家で寝ることもできるのに、
なぜ人はお金を払ってまで泊まるのか？」


たとえば、眠ること。


ホテルや旅館は、
ただ寝るための場所じゃない。


環境が変わることで、心まで解放される。


ただ眠るだけなら家でいい。


でも「眠る時間の質」を求めるなら、
その空間を選ぶことに意味がある。



食べることも同じ。


自炊すれば安く済むし、
好きなものを作ることもできる。


でも、材料を揃え、作り、
片付ける手間は、決して無料じゃない。


外食は、料理を食べるだけじゃなく、
「その手間を省く時間」や
「誰かと過ごす空間」を買っているとも言える。



では、愛することは？
　

これは一人では成立しないもの。

　
恋人やパートナーがいれば、
当たり前に満たされることもある。


でも、そうでない人もいるし、
何らかの理由で求めても得られないこともある。


「恋人とすることにお金を払うのはおかしい」
そう思う人もいるかもしれない。

　
でも、それを言うなら、　　



「家で寝れば無料」
「自炊すれば安い」も同じように考えられる。



結局、人が求めるのは
ただの行為そのものではなく、


「満たされる時間」 なのかもしれない。


その価値を決めるのは、
他の誰でもなく、自分自身。


あなたにとって、満たされる時間とは？